素敵な新入荷。

2011.12.11.Sun.00:12

珍しく月を眺める。
昔、安い天体望遠鏡を買ってもらって、天に近づこうとした日々のことを思う。
遠いものを、遠いといつから思うようになったのだろうか。



「面白うて、やがて哀し」(と勝手に私が思っている)の山川直人漫画↓この辺入荷。
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『コーヒーもう一杯』の4と5が揃えば完璧なのですが…。しかし一話完結の内容なのでどの巻を読んでも面白い。


宮脇愛子の署名入本『はじめもなく終りもない―ある彫刻家の軌跡』出してます。この人の署名はちょっとチャーミング。贈呈先名がファースト・ネームなのだが、本文中に出てくる大物のあの方であればすごいお話。しかし巡り巡っての今ここ、なので確かめようがない。



…きみ、数年後のきみ、これらすべてのことを忘れ果てたころのきみに向けて書いているこのノートのことを考えながら、忘れ果てたとはいっても、これを読むことによってそれらのことはすべて、ほかのたくさんのことといっしょに、それを捉え、固定し、ある特定の場所に位置づけて鑑賞することを可能にするような一種の秩序のうちに、ある形式と構造に従って記憶によみがえってくるだろう、いまのところは、私がきみに得させようと努力しているあの照合のシステムが欠けているために、それができないにしても、
 だから、そのときには、きみのなかには新しい意識が生まれてくるかもしれない、そして、いまはわけもわからず、運び去られるがままになって、きみがその渦巻く濁流のなかにでもいるようにしているあのおびただしい情報の流れ、
 混乱したり、消失したり、互いに矛盾したりしながら、きみの上をすべってゆく情報の流れ、
 われわれすべての人間、互いに知り合ってもいないきみの級友や教師たちみんなの上をすべってゆく情報の流れ、
 われわれのあいだを、われわれの周囲をすべってゆく。
 あのおびただしい情報の量を、正しくつかみ直すことがきみにはできるようになるだろう。

***ビュトール『段階』第Ⅰ部***


…いま、とぼくは言ったが、しかしそれはほんとうにはいまではない、書いているのがほんとうにはぼくではないのと同じように、この時間はとうの昔に終わってしまっているのであり、ぼくが使用しているあの現在形は別の現在―
 あなたが書きつつある現在、ぼくやまたぼくの級友たちがあなたの書いたものを読むであろう現在を、
 あの中心的な時間―刻々と遠ざかりつつあるにもかかわらず、
 その時間のためには不動の<物語の現在形>を用いることによって、
 次第に厚みを増しながらそれをとり包むほかのあらゆる時間とあなたが区別している、
 あの中心的な現在に結びつける橋脚のようなものなのだ。
 それに対し、いまこの時間、一九五四年十一月九日、火曜日の午後のなかばという時間は、あなたがあなたの心の焦点をほかのある生徒やほかの先生に定めて、この次ここに立ちもどり、これをまたほかの時間のなかに―単にこれに先立った時間のあとにというだけでなく、これに続いた時間の前に位置づけようと思うときには、
 あなたはそれをぼくに過去形で書かせるのであろう。

***ビュトール『段階』第Ⅱ部***


ロブ=グリエ『嫉妬』(白井浩司訳)・ビュトール『段階』(中島昭和訳)収録、集英社版世界の文学25(1977)販売中!!!

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